一乗谷川 河川改修事業

歴史的景観と治水を両立するために採用された当社アンカービオストーン工法

福井県福井市南部に位置する一乗谷は、一乗谷川沿いの谷底平野に形成された地域で、戦国大名・朝倉氏の本拠地として栄え、最盛期には人口1万人を超える戦国有数の城下町でした。しかし1573年、織田信長による焼き討ちで城下町は消滅し、遺構は地中に埋もれたまま長い年月を経ることとなりました。
発掘調査の進展により、1972年には谷全体278haが国の特別史跡に指定され、全国的にも貴重な歴史的景観を持つ地域となっています。

当社工法:アンカービオストーン工法の採用

本事業の石積護岸には、当社独自のアンカービオストーン工法が採用されています。

  • 従来の空石積みよりも強度を高めた改良型工法
  • 背面ネット一体型構造により、表面石材を金網と物理的に連結
  • 熟練の石積技術がなくても、均質で構造的に強固な空石積護岸が構築可能
  • 石種・大きさの自由度が高く、景観に合わせた自然な石積みが実現

歴史的景観と高い防災性能を両立した、全国的にも価値あるモデルケースとなっています。

所在地福井県
工法アンカービオストーン工法
発注者福井県福井土木事務所
竣工2016年

歴史的景観と治水を両立する河川改修

一乗谷川の改修では、地域の生命財産を守る治水対策に加え、朝倉氏遺跡という国家的文化財を損なわない景観整備が強く求められました。
福井県では「ふるさとの川モデル事業」(1988年指定)を契機に、史跡環境と調和した河川整備を推進。ホタルや魚が棲む自然環境の再生、水辺景観の復元、住民と観光客が親しめる空間の形成が目標とされました。

改修にあたっては、発掘された外壕跡とみられる石垣を護岸材料として再利用し、堤防線形の見直しや堤防の緩傾斜化、巨石積の採用により、植生回復・歴史的景観の再構築が図られています。

洪水被害を抑える確かな治水効果

一乗谷川は歴史的に度重なる水害に見舞われてきましたが、特に2004年の福井豪雨では流域が過去最大級の豪雨に襲われました。
周辺地域は甚大な被害を受けた一方で、本地区では改修後の効果により被害が最小限に抑えられ、護岸や橋梁には損傷がありませんでした。
滑らかな法線形状と、頑丈な自然石護岸が大きく寄与しています。

整備から20年——自然と歴史が息づく景観へ

改修から約20年が経過した現在、空隙を確保した石積護岸や野草法面にはホタルをはじめとする地域固有の動植物が再生。
積まれた自然石や木材は適度に風化し、一乗谷の原風景を想起させる落ち着いた景観が形成されています。

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